トコナ(TOKONA-X)がこの世を去って10年以上の月日が経つ。
俺自身、彼の生き様に半端なく影響を受けた。人生が大きく変わったといっても過言じゃない。
TOKONAを初めて知ったのは1990年代の後半、ダブルケーのMIXテープだった。ツレの車のカーオーディオから流れてくるイルマリアッチは、当時のHIPHOPシーンの中では明らかに異色で、
「おい、コレほんとにタメか?」
そうツレに聞いたのを憶えている。
しばらくして、「1回ライブ見に行ってみるか」と仲間と一緒に名古屋に向かった。名古屋のクラブが集まる女子大通りは、夜の商売の大人たちとB-BOY&B-GIRLが共存する独特の雰囲気で、田舎のガキだった俺達はあっという間にのまれてしまった。
それに当時「THUG一色」だった名古屋のHIPHOPシーンは、危険な空気が充満していてよそ者の俺達は楽しむどころではなかったのだ。「これ無事に帰れるんか?」って内心ドキドキだったさ。
そんな中、一息入れに外に出て座り込んでタバコを吸っていた。するとあの男がやってきた。
TOKONA-Xだ。
正直な第一印象を言おう。
「ヤバ…」
この「ヤバ…」はカッコイイとかの類ではなく、身に危険を感じた時の「ヤバ‥」だ。笑
見た瞬間に凄まじいオーラに圧倒された。とても同い年には思えない。
さっきも言ったが、当時の名古屋はよそ者の自分たちには危険な空気しか感じ取ることができなかった。そんな名古屋で名をあげて、日本のトップを獲ろうとしている男のオーラがそもそも普通なわけない。
「目が合ったらやられる…」
本気でそう思った。それも一瞬で。
だが好奇心には勝てず、トコナが前を通った時こっそり見上げてみた。
するとこんな顔をしていた。
目をそらしたよね。笑
それから自分たちのイベントやライブがない日は名古屋に通うようになるんだけど、その辺の話は長くなるのでまた今度。
ちなみに俺自身、TOKONAの曲は一曲逃さずチェックしてきた。今日は、そんな俺がTOKONAのオススメ曲を厳選して紹介してみようと思う。
離れた土地から聴いていたトコナと、同じ愛知で聴いていたトコナでは多少イメージが違ってくると思うんだよね。
その辺り意識しながら紹介してみるよ。
TOKONA-X 厳選オススメ曲
トコナは3つの顔があった。
- ILLMARIACHI
- M.O.S.A.D.(M.O.S.)
- ソロ
当時、「それぞれでキャラを使い分けてる」といってたんだけど、今日はごちゃ混ぜで紹介します。
Youtubeにあった動画も貼ってるけど、ないものも沢山あるのでそういう曲はタイトルだけ書いておくんでご自身でディグって下さい。
ではいきます!
曲名不明
イルマリアッチを知ってからゲットしたデモテープ内にあった曲。(どっかいっちゃたけど。笑)
曲名は忘れちゃったけど、サビは憶えてる。
「飲んで〜 倒れるまで吸って〜 暖まって〜 ビッチ抱いて〜 エブリデイ 今日もまたやらかし 毎晩夜更かしやまねー病気」
トコナに歌って聞かしたら「恥ずかしいがや!」って笑ってた。
TOKONAIZM
これはイルマリアッチの「THA MASTA BLUSTA」ってアルバムの中に入ってる曲。当時のTOKONA(REC時は多分17歳)の名刺代わりの一発。
最近、曲中にある「ビートモクソモネーカラキキナ」ってリリックが、DJ RYOWの手によってまた脚光を浴びてる。
関連【事件!】 般若と漢とR-指定がTOKONA-X(イルマリアッチ)のビートで曲やってるよ!!
関連【これはヤバイ!】『ビートモクソモネェカラキキナ 2016 REMIX feat. Zeebra & AK-69』PVがアップされたよ!
間違いなくクラッシック!
TOKONAIZM(荒くれMIX)
コッチも要チェック!!
Young Gunz feat Shigechiyo & Kent
これも「THA MASTA BLUSTA」に入ってる曲。
1999年にRADIXってクラブで行われたNAGOYA ALLSTARSってイベントのステージ上で「この曲が一番かっこいいがや〜」って言ってたのを思い出す。この近辺で来日した「カポーン&ノリエガ」の影響かわかんないけど、ライブは口パクだったけどね。笑
この2曲の他にも「THA MASTA BLUSTA」内でイコールとやってる「For Da Bad Boys & Ladies feat.EQUAL」という曲も最高。
▼ アニバーサリーエディションは消されていたリリックが無修正で聴けますよ
M.O.S. & E.A.T.(Masters Of Skillz 名義)
M.O.Sとして初めて世に放たれた1枚。
もちろん即ゲット。レコードに針を落とした瞬間、自分の中にあった東京主導のHIPHOPが遥か彼方に飛んでいった。
「これがHIPHOPだ‥」
何の迷いもなくそう思えた。
だからこの12インチは自分にとってかけがえのない一枚。
今も押し入れに眠ってる。
Fabulous
これは餓鬼レンジャーのポチョムキンが運営してた「東雲レコーズ」から出た「RAP WARZ DONPACHI!」って言うコンピレーションアルバムの中にあった曲。
この頃には完全にトコナにやられてたから、近所のツタヤで予約して当日にゲット。そのまま車で聞いたんだけど、今思えば音楽を聞いて鳥肌が止まらなかったのこれが最初だったと思う。
時代背景もあり、今Youtubeで聴くとチープだけど、是非車で大音量で聴いてみて欲しい1曲。
The Players
許可なしのサンプリングが問題になって、回収&発売禁止になった幻のモサドのファーストシングル。
一応ダメ元で探したら、とんでもないプレ値で売ってた。笑
If I...
トコナとイコールとアキラが「もしも〜だったら」というテーマでラップした曲。これに関しちゃイコールが一番かっこいいかな。
Shatta Fire(Ackee&Saltfish名義)
Ackee&Saltfishと一緒にモサドがやった曲。動画にトコナがいないのが寂しい。
▼ これはREMIX
THE GREAT SENSATION
M.O.S.A.D.の最初で最後のアルバム。全曲ハズレ無し。説明不要。
CHAIN REACTION(MURO名義)
KING OF DIGGINことMUROにFEATした曲。個人的には「ええだろぉ」がトコナっぽくてすごく好き。
それにしてもこの動画は何回見ても泣きそうになる。トコナが出てきた時の観客の異様な盛り上がり、トコナがラップしとる時の他のラッパーの楽しそうな顔、すべてがやばい。
P.S. 関係ないけどMUROの次にラップしてるのフリースタイルダンジョンのMCやってるUZIだよ。笑
EQUIS_EX_X
超問題作で話題を一気にかっさらった曲。当時BOSS(ブルーハーブ)をディスるやつなんかいなかったからね。
その後の展開は記事してるんでもしよかったらどうぞ。
▶ ザ・ブルーハーブのBOSSが、TOKONA-Xとの間にあった真実を話している【ビーフの真相】
問題G (GANXSTA D.X名義 )
当時ガチのギャングとして幅をきかしていたGANXSTA D.Xと一緒にやったサグな曲。懐かしい。
アタッテクダケ -トツゲキのテーマ-(Deli名義)
トコナの追悼番組で「ギャラをその場で要求された」ってデリが言ってた。笑
尾張ヒールズ
「名古屋のTOKONA-X」っぽさが感じたいならこの曲だと思う。ヒリヒリした当時の空気感が心地よい。
BONDS(Mr. BEATS a.k.a DJ CELORY名義)
同い年で、同じ横浜出身で、ヤングガンズで、ライバル。RECの時もバチバチだったってセロリがインタビューで話してた。
PVに二人の姿がないのは、多忙だったTOKONAのスケジュールが合わなかったのが原因らしい。PVで2人を見たかったな…。
Lew me know ya...
スーパークラシック。PV撮影も名古屋人にはおなじみの「Lush」や「RADIX」が使われてる。kalassy NikoffはAKだよ。
YOUNGGUNZ pt Ⅲ(M O S A D./OZROSAURUS/MAGUMA MC'S)
当初、「予告」的な感じで「THE GREAT SENSATION」内でイントロ部分だけ収録されてたんだけど、MAGUMA MC'Sのアルバムでお披露目になったんだよね。
YOUNGGUNZ名義はこれが最後になちゃったけど、ヤングガンシリーズの中で一番かっこいいと思う。
Murda!!!!(DABO名義)
TOKONAの日常が鮮明に浮かんでくる。「ガラかわすか、構えるか決めなかん」てクールすぎるでしょ。
知らざあ言って聞かせやSHOW
間違いなく代表曲の一つ。知ってるか。笑
これトコナをリスペクトしているダンサーのケント・モリがゴールデンタイムのTV番組でバックミュージックで使ったんだよね。
その頃ゴリゴリのHIPHOPがその時間帯に流れるなんてなかったから、ホント痛快だった!(カモンビッチーズって流れたからね。笑)
Twin Peaks(トウカイXテイオー)
初のソロアルバム「トウカイ×テイオー」に収録されている曲。
イコールとTOKONAって、HIPHOP界のヒロトとマーシー(ブルーハーツ)だと思ってて。出会ったこと自体が奇跡というか…。
だってこの曲めちゃめちゃカッコイイでしょ?この2人が最強。
New York New York(トウカイXテイオー)
トコナが歌うニューヨーク賛歌。最高。
▼ AKとやったREMIX
Where's my hood at?(トウカイXテイオー)
名曲。
▼ MacchoとやったREMIX
God&Blues(Kalassy Nikoff名義)
Kalassy Nikoff(AK-69)の初のソロアルバムに収録されている曲。
神に対する考え方をラップしてるんだけど、どこまでいってもトコナ節。
COLD GAME
DJ 4sideのファーストアルバムに収録されている曲。トラックも最高だけどリリックも最高。
毒々(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND名義)
NITROがRECしているスタジオに酔っ払いながらフラッと遊びに来て、サクッとラップして帰ったというのがこの曲。フラッと来てこれだけのラップできないでしょ、普通。笑
「ケツを舐めるなビッチ」っていう歌い出しもそうだけど、終始テクニカルとはまた違う、聴いたことのないラップ。言葉を自由自在に操ってるって言うか。凄い。
C'MON AT MY HOOD
同じく若くして天に召されたKEISHIとやった曲。2人でやった曲はこれだけ。
言っちゃえば名古屋賛歌。ワンランク上に行ったトコナのラップが聴けます。
▼ REMIX
WHO ARE U(DJ-RYOW名義)
命日には今でも日本中のクラブでかかるこの曲。
PVはあの世に行ってから作られたからこんな感じなんだよね。
▼ 関連曲(オリジナルは一番下)
まとめ
よくさ、「死んだから伝説になったんだよ」とかぬかしてる奴いるけど、トコナに関しちゃそれは違うからね。ラッパーとしての素質、生き様、スケール、どれもが生きてる時から群を抜いていた。生きてるうちに時代が追い付けなかっただけなんだよ。
「もし」はないけど、「もし」今も生きてたなら間違いなくトップを張ってたと思うし、今と違った方向でHIOHOPが進んでたと思う。
でも思うんだよね。
人々にの衝撃を与える事が、彼の役割と言うか、使命だったんではないだろうかって。
HIPHOPを背負うのが使命だったのではなくて、HIPHOPの根っこの部分を後世に伝え続けるだけの存在になることが役割だったていうかさ。そう思えば腑に落ちないかな。
今活躍しているラッパーは、全員トコナをリスペクトしているって言っても過言じゃない。形だけのリスペクトじゃなくて、みんながみんな心からリスペクトしてるような気がしてならないんだよね。
そんな存在って日本にいる?海外なら2PACやビギーがいるけどさ。日本てトコナだけじゃん?やっぱりそういうことなんだろうなあって思っちゃうんだ。
しんみりしちゃったけど、トコナのラップはいつでも聴けるし、存在は後世に語り継がれていくと思うし!
TOKONA-Xは間違いなく日本一最高なラッパーだよって話!
おまけ
秘蔵M.O.S.A.D.(故TOKONA−X)R.I.P.
いかついイメージがあると思うけど、それだけじゃなかったのがこの動画から伝わると思う。近くにいた人間はみんなこの笑顔にやられたんだよね。
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